2024年12月23日月曜日

EP57 インドネシアイスラム教徒の日常

彼らの大切にしていることは家族の絆と宗教の二点が日常生活の基本です。そして重要となるのが仕事(収入への道)ということに繋がります。家族との絆は近年普及しているSNSを通じて遠く離れていても容易に繋がることが可能です。日本では、コロナ流行期にビデオ通話などが流行しましたが、出稼ぎインドネシア人にとっては、遠く離れた故郷と直結する大切なツールです。日本在住時は仕事が終わると真っ先にスマホで家族に、恋人に近況報告です。しかも、家族との通話は延々と続きます。

そして多くのイスラム教徒は日本に来ても一日数度のお祈りを欠かすことはありません。日本在住時の彼ら、自国に帰った彼らの二面を比較すると、明らかに、自国に帰った時の彼らの表情は豊さが見られます。体重もやせ型から小太りの状況が目立ちます。日本での生活はストレスも結構多かったのでしょう。又食事も現地に近いものは作れても本物というわけには行きません。

今回は皆さん本当にお世話になりました。今後も私が日本にいる限り、皆さんのオアシスとなるべく憩いの場を作り上げて行きたいと思います。確かに、彼らが私の所に来ると皆活き活きとしています。話を聞くと普段の仕事は典型的な長時間、低賃金の過酷な状況に置かれているのが大半です。そんな状況の中で、心底ほっと安堵できる場所を提供できたことは、私自身の本望でした。誰から問わず、やって来る人々を暖かく迎えるのが人としての勤めでしょう。しかし、そこには、異文化の理解と多様性の容認が必要となります。今までアジア諸国を中心に多くの国を回りながら得た人生が、この様に開花していくとは想像もしなかった事です。完璧ではなくても、多少なりとも現地語の習得を持っての対処がこうした結果へと繋がっていきました。

 




第一にお祈り

彼らの日常を追うと、何事があってもモスクへ出かけ、お祈りをする事から始まります。自家用車でどこかへ連れて行ってもらう時もお祈りの時間が迫り近くのモスクに立ち寄り、「ちょっとお祈りの時間ですから、失礼」と車を止めてお祈りを始めます。およそ10分で終わりますが、彼らの日常生活に深く浸透しています。これをしないと気分が落ち着かないという感じを受けます。

インドネシアの回教徒に行きたい場所を尋ねると、サウジアラビアという事になります。世界のどんなに素晴らしい観光地であっても、殻らにとって第一に思い当たるのは、イスラム教徒の聖地であるサウジアラビアの旅です。イスラム教徒にとって最大の称号がもらえるハジ巡礼は予約が埋まっていて、20年後になるそうです。その代理として随時訪問可能なウムロ(小巡礼)に出かける人が多いそうです。ハジ巡礼(大巡礼)は期間が定められており小巡礼にあたるウムロは随時参加可能という違いがあります。

第二香水は必需品

彼らの香水好きです。シャワーを浴びて、出かける時は必ずと言っていいほど、シュッシュと香水を衣服の上からスプレーして出かけます。これも彼らにとっては日常の一環です。多分この風習はアラブ諸国から伝播したものでしょう。町で洗濯物を出しても、受け取る時は香水たっぷりの仕上がりになっているのが常です。

第三は身だしなみ

彼らは清潔好きです。出かける時はいつも洗濯したてで、折り目がきっちりとした服をまといます。どこの家に訪問しても、到着後問われるのは、「洗濯物ありませんか?」と聞かれるのが常です。お願いすると翌日には香水で香りの良い衣服が準備万端となって手元に届きます。また時間を問わずに沐浴(シャワー)は頻繁に行っています。朝起きた時は勿論の事、外出から帰った場合もシャワーです。シャワーと言っても、最近はシャワーの設備のある家が増えましたが、お風呂場(シャワー場)には四角い形をした水槽があり、常に水が張ってあります。それを柄杓で汲み取りシャワーの代用にするパターンは多くの田舎で見出すことが出来ます。これに慣れると気持ちの良いものです。熱帯性気候に属しますから山岳地域でない限りは、日本でいうならば、真夏に水シャワーを浴びる感覚です。彼らは暖かいお湯のシャワーは体験したことがないので、私の所で滞在している場合は、寒い春や秋でもお湯のバルブを開けた形跡がありません。

第四はタバコ好き

インドネシア人は無類のタバコ好きな人種です。どこでも、いつでも所構わず紫煙を吐き出すのが常です。路上喫煙、公共の場での喫煙なども規則があるようで、ないようで。ですから路上は吸い殻だらけになっています。レストランなどでも、分煙とかがあるようですが、誰も規則に従う人はいません。女性が喫煙しているのは、見たことがありませんから、受動喫煙の影響で非喫煙者の健康被害は目に見えないところで広がっているのではないでしょうか?「タバコを吸わないのは男の恥」とでもいわんばかりの風潮です。18歳未満だろうが、全くお咎めなしで自己責任なのでしょうか。ただ気がかりなのは、以外とタバコの価格は高いのがインドネシアの実情です。一箱(12本入り)200円程度ですから、彼らの所得からすると高額と言えるでしょう。200円あれば、屋台で腹いっぱい食事をすることが出来ます。所得から見るエンゲル係数、いやタバコ係数は2割以上に達する人もいるかもしれません。

別の見方をすると、在日インドネシア人の実習生達は所得が手取り12万円程と仮定しましょう。一箱500円のタバコを毎日購入すると一か月15000円となりますから、収入に占めるタバコ代金の割合タバコ係数は12.5%ですから、自国にいるよりも安い価格で入手できるという判断になります。

第五は家族の絆が深い

世界中で中国人は家族の絆が強いと言われています。しかしインドネシア人も以外に家族の絆が強いと言えるかもしれません。前述したように、在日本のインドネシア人はほぼ毎日家族と連絡を取り合っています。特に実習生達の場合は、コミュニケーションの不具合で日本人と会話をすることは殆どありません。それが、在インドネシア人同士や母国の家族や恋人と連絡し合うことになるのは当然の現象です。また、友人のパンチャの兄弟姉妹はお母さんが異なっても、家族は密接に繋がっています。しかしイスラム教徒に関しては、同じイスラム教徒であれば、すべて家族という意識も強く、私の家に来る友人達の間でも見知らぬ人同士がすぐに打ち解け合ったりする光景をよく見かけます。これは、インドやネパール系の人々になると、カースト制度が名残を留め、即仲間になるという空気には至りません。

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