朝起きてから30分ほど周囲の散策をするのですが、村の生活は近所の人々がお互いに顔見知りで皆にこやかに挨拶をし合っています。日本の都会のタワマンだと、隣に住人とのコンタクトが一切遮断されているのが常ですが、これこそが村の生活です。ずっと昔、今から数十年前にバングラデッシュの友人宅を訪問した時、スリランカの友人に連れられて彼の村を訪問した時・・・。周囲の人々はお互いにどこの誰なのかじゅうじゅう承知しているのが当たり前の世界でした。今回も同様な経験を得ることになりました。数日前に訪問したアリの家でも地域全体の住人がお互いを知り尽くしていました。散歩の途中で小学校の前で文房具屋を開いているインドネシア人は、今から10年ほど前に技能実習生として日本に出稼ぎにいったそうです。今でも日本語を忘れないようにユーチューブやアニメなどを利用して練習をしているそうです。村の小さな児童公園の散策を終えて帰る際に路上でとある夫人に会いました。彼女は日本語がすごく達者で流暢な発音で話をしてくれます。8年ほど前に三年間日本の足利市のプラスチック工場で仕事をしていたとの事で、今はこちらで日本語の先生をしています。科の情の説明によれば、実習生はまずLPKという語学学校兼研修センターで数か月訓練を受け、送り出し機関を通じて日本に出稼ぎに行く方式になっているそうです。LPKでの費用は毎月4-5万円で授業料、寄宿舎、食事がついています。一定のレベルに達すると送り出し機関を通じて日本の会社からの面接があり、合格すれば日本に派遣されるそうです。この費用は最低24万円から50万円ほどと開きが大きいようです。今でも日本への出稼ぎへの需要が高まっているそうです。
この地域からは多くの元実習生がいるようで、パンチャの住む家から30キロ圏内に数人います。その中で私の家を利用した人々もいまから、パンチャは早速連絡をとり報告してくれます。そんな中で一人の友人が1時間半ほどかけて車で駆けつけてくれました。来年四月から元働いていた会社での再雇用が決まったとのことで嬉しそうに語ってくれました。日本に5年間仕事をしていた経験もあり、地理感もありますから、何にも心配はありません。ここ田舎での給与は平均で2万五千円程度と聞きます。そうなれば当初費用がかかっても、日本への就労が憧れとなって来るのです。彼の場合はLPK経由ではないので、送り出し機関に必要な書類の準備や航空券などの手配を依頼するだけですから、その費用は日本で働けば2-3か月で元がとれることでしょう。
パンチャのSNSを通じて日本で仕事をしていた同僚Feryとのビデオコール開始です。彼も数度私の家に遊びに来たことがあります。陽気な性格でいつも恋人とチャットしていました。今は誕生一か月の赤ん坊を抱えて、その世話につきっきりの日々です。懐かしい彼の顔がスマホに浮かび上がりました。昔同様なハニカミタイプの表情をしています。嬉しそうに出来たばかりの赤ん坊を見せてくれました。「そのうち必ず富山に行きますよ。貴方の家に遊びにいきますよ。」彼らにとっては、私が友人の家を泊り歩いていることにさぞかし驚いているようです。それは、そうかもしれません。普通の観光客とは大きな違いです。このようなパターンの旅行は、誰も真似をすることは出来ないでしょう。今回の旅を通じて彼らの日常生活を深く知ることができます。天気の晴れ間を縫って、朝食後はパンチャの両親のお墓参りです。
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