私が彼らの世話を始めたのは今から6年以上前の話です。石川県の小松製作所で実習生として勤務していたテグのグループが立山登山を目指して夕方立山駅に到着しました。しかしこの時間では、山に行く交通機関は終了しています。仕事の帰りで、彼らの姿が目にはいり、インドネシア語で話しかけてみました。「今日はどうしようか、この辺りでテントしようか。」と考えていました。幸い私の住んでいるところは目の前ですから、招待することにしました。「お金もいらないから、心配しないで泊まってください。」彼らは当初は半信半疑だったでしょう。自分の家だと思って安心して使ってくださいとの申し出に疑心暗鬼の状態がじわじわと解けていきました。翌朝彼らは元気よく、立山に出かけました。この件がとてもうれしかったのでしょう。その後口コミで次々と山が好きな在インドネシア人の休息所、合宿所と化していきました。
春から秋にかけては、気候も良く、彼らにとっては、川があり、谷があり、丘があり、緑に囲まれて自分の故郷に帰ったような気分になる場所です。しかも、割引券を利用すると片道500円で富山市内から到着できる場所です。休みの少ない彼らにとっては、束の間の休息に相応しい場所なのでしょう。その後週末や連休、正月やお盆の時期には続々と皆が訪問するようになりました。2024年のお盆の時期には一夜で30人以上が投宿しました。彼らの食事の準備に大忙しの日でした。
彼らには、泊まるところと食事を提供するだけではなく、その他の様々な情報も提供するようになりました。マイナンバーカード取得で2万円分の還元があった時には、彼らにその取得方法を細部にわたって伝授したり、格安な鉄道切符の利用を説明したりするなど、多種な方向に広がっていきました。とりわけ、コロナ発生時で世界の経済がダウンしている時に行われた振興策の一つで立山黒部アルペンルートが1000円で往復できた時があります。しかしこの条件は支払いがクレジットカードということで、残念な事に実習生の場合は査証が一年毎に更新なので、カードの発行には至りません。私が代行して彼らの支払いを行うことになりました。多分40名以上のお世話をした記憶があります。
夏のお盆休みの時期になると、決まって何組かの山好きなインドネシア人が夕方立山駅に到着して途方に暮れている光景を見かけます。そんな彼らに暖かい手を差し伸べるのが日常となりました。前日宿泊して、立山に出かけたは良いものの、翌日は天候不順で即引き返し、連泊した人達もいます。この様にして、交際の範囲がどんどん広まっていきました。
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