2017年2月2日木曜日

3.6観光産業とGNP



この記事は1998年にミャンマーを訪問した際の日誌を再編集したものです

3.6観光産業とGNP

ポパ山でみかけた馬車
さて現在進行している観光産業は一体この国でどの程度GNP に貢献しているものでしょうか?単純に試算をして見ましょう。年間10万人の観光客が一人平均300ドルを使うとすれば、総金額として3,000万ドルの金が外部から流入する事となります。これをミャンマーの人口は約4500万人と仮定し国民一人当たりに換算すると70¢すなわち100円しか配分がない事となります。タイの様に年間700万人の頼光客が入り込む事となればその金額も莫大なものとなります。観光客の数から言っても現在のミャンマーはタイランドの70分の1という数字です。しかも一人当たりの観光客の消費金額を2倍と仮定して計算するとタイ人一人当たり70ドルという金額になってきます。これだと大きな数字となり、タイランドの各
家庭にテレビやその外の電気製品等が普及するのも当然の事でしょう。

ネパールに関して同様に試算をしてみましょう。観光客の数を20万人として-人当たりの落とす金を500ドルとすれば、20×500=10,000万ドルです。これを2.000万人の人口で割ると一人当たりわずか5ドルの金が国外から流れ込む計算となります。ネパールの場合はその外に外国からの援助資金が大量に流れ込んで行きます。昨年の統計によると96年度はネパール人一人あたり外国から20ドル分借金をしている勘定になるそうです。その外のNGOからの資金や統計に現れない闇のルートを使っての資金などが観光産業の副産物として入り込み生活水準を押し上げている国でしょう。
しかし観光収入が実際にその国のGNPにどの程度寄与するのかに関しては様々な見方があります。ネパールの場合は実際には国家のGNP4-5%程度しか寄与しないと言われています。すなわち一旦入り込んだ外貨はホテルの設備関連の為にすぐに流出してしまいます。自国で設備一式が生産される条件が整えばその金額がすぐにGNPに反映するのでしょうが、ネパールの様に自国での工業生産割合の少ない国.に於いては折角入り込んだ外部からの大豊資本も資本財の購入にその多くは国外へ還流してしまいます。また観光客が外国製の煙草や食事を取る事となればそれらの多くは輸入に頼る事となり、その園の経済構造に何らの影響を与えずに終結する結果となりましょう。この事はミャンマーに於いても少なからず発生しているのではないでしょうか?この国での主要産業はあくまでも農業と、森林資源によって外貨を稼ぐ事しかないのが実状です。一見華やかに見える概光産業も現段階ではまだまだ充分とは言えません。ホテルを建設したらその為には沢山外国から買物をしなくてはいけません。入った金はすぐに支払いに回さなければ行けません。手元には一体どれだけの財産が残るのでしょうか?
さて外部からの資金の流入の一例として多くの発展途上国に於いては国外への出稼ぎが主要なる位置を占めている場合もあります。先日インドで見た新聞ヒンドスタンタイムスにでていた記事に依るとランカからは毎年60万人の出稼ぎがあり、その送金金額はこの国に於いて第一位の外貨収入源になっているそうな。年間の受取金額は886百万ドルと言う数字になりました。この事は出稼ぎ者一人当たり約1400ドル程年間に送金している勘定になります。国全体でみると、一人当たり40トドル程GNPを押し上げている事となります。出稼ぎの影響は大きいものであります。スリランカの航空会社は順調にその翼を広げて行く事が出来る秘密がここにある訳です。60万人の出稼ぎが2年ごとに休暇を貰い一時帰国をすれば一日800人の出発する人と帰国者が空港へ押し寄せる事となります。出稼ぎ専用便としてジヤシポ棟が3台必要になる規模です。

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