この記事は1998年にミャンマーを訪問した際の日誌を再編集したものです
2.10アジアの富み、隠し資産の金の目減り
アジアの通貨危機の進行と共に国際的な金の価格ががたんと落ちてしまいました。インドでも庶民は自分たちの所有する金の値打ちが下落した事に嘆いている話を聞きました。資金に余裕のある階層では今が買い時なのかと私に相談を持ち掛ける友人もいます。
これらの国では個人の財産の保持の手段として金製品の所有が盛んです。装飾品としての日的のみではありません。特にミャンマーの様に自国の通貨に信頼のない園では当然の結果として銀行業務等は発達するわけはありません。
インレー湖 |
ミャンマーの通貨には我々が信じられない金額の紙幣が見られます。現在流通している種類でも5、10、20、45、50、100、20、500チャットの札があります。以前90チャットの札もあったのですが、これはブラックマネーの一掃の手段として突然流通廃止となり紙屑同然となった事があるそうです。金の価格は今まで多少の乱高下はあったもののこれほど迄に下落した事はなかったはずです。しかし庶民はやはり金を所有する事でその値打ちが現在の評価でたとえ3割下落したとしても何かと安心感をもっているのも実際の話です。ミャンマーでは外に資産を運用する手段を持たないという背景を加味すれば庶民は以外と平静にいれるのではないでしょうか。日本では、一部の人々が株を所有してその価格が壊滅的に下落し単なる紙切れとなり嘆き悲しむ人もいるのです。今回の東南アジアの通貨危機や金の価格の暴落は世界中に悲喜こもごもを残したようです。
多くの寺院は寄付金でまかなわれています。熱心な信者からによる寄付金の総額は莫大な富みを蓄積しているのではないでしょうか?国民は貧しいかも知れませんが寺院は金持ちという皮肉な現象が登場します。恐らくこの国に存在している寺院に眠っている金を評価するととてつもない金療となりましょう。佐川急便を通じて100億の賄賂を受け取ったとされる元国会議員金丸氏の話と比較すると容易な面もありましょう。宅急便一個について10円天引きするだけで年間100億の金を捻出する事等は極めて容易なのではないでしょうか?国民一人当たり10個の荷物を取り扱うとすれば年間10億の宅急便を取り扱う事となります。それぞれ10円づつピンはねすればいとも簡単に100億円の資金が捻出される計算となります。
4500万人のミャンマーの人口が一人2円出す事に依って一億円に近い金が集まるのも事実です。ラーマンさんのグループとこの事について話をしました。「もしミャンマーの寺院に眠る金が生産設備等各種投資に回るものであればこの園の経済は目覚しい進展を遂げるでしょう」と。彼らはそれも全く同感なのですが、「そんな事を公言したら政府から狙われで刑務所行きとなり出られなくなりますよ」という事でした。
しかしこの事は我々が経済至上主義の前提に立っての発想です。現在にミャンマーの状況に於いて経済の活性化がすぐに民衆の幸福に直結するとは限りません。長く仏教の栄える国は滅びる事がないとも言われています。金色に輝くパゴダの方が同様な金額を投資した石油コンビナートやシリコンバレーそして現在の科学い技術の粋を集積した原発よりも遥かに精神的豊かさを与えてくれるのかも知れません。
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