2017年1月12日木曜日

2.03経済は瀬死の状態でもありそうでもないのです。




  この記事は1998年にミャンマーを訪問した際の日誌を再編集したものです


2.03経済は瀬死の状態でもありそうでもないのです。

ミャンマーの工業化は全くと言って良いほど遅れています。先日友人の紹介でマンダレーの製粉所を見学する機会がありました。その設備の古めかしさはどう表現して良いものか混乱してしまいます。まず建物自体は木造堀立て小屋に近いものです。
ヤンゴン市街
製粉機はビルマ製で、これでも稼動するのかと思われる程旧式な装置です。しかしインド系のビルマ人であるオーナーは製品を国外へ輸出してかなり金を稼いでいる様子です。自宅には衛星放送のアンテナが立っていました。最近鼠が増えたので工場を改装中とかで、床をセメントで固めている最中でした。どうもキツネに包まれた感じがしないでもありませんが、これも現実なのでしょう。
旅の道中で会った日本の会社役員の人によれば、ミャンマーで工場を見学したそうですが、全く驚いてしまったそうです。あまりにも基本技術の無さで手の施しようがない事を強く感じたとの事です。
ここでは先進国からの技術の移入には程遠き状態なのです。もしかしたら何処の国からも見捨てられる方向にあるのではないでしょうか?また近隣諸国に於いては技術移転をするよりも付加価値の高い商品を売りつける事が自国の利益に繋がるとして、一向にその気配は出てきません。

この国では第一次産品のみが輸出の対象です。其の外の工業製品の多くは隣国からの輸入に頼るしかありません。近年資本の自由化を推し進め幾分か工業化に乗り出したようですが、道は大変遠くにしか見えてきません。ビルマとの合弁事業をするにあたり現地を視察した日本人はインフラの悪さや現在操業中の工場のあまりにもその古めかしい設備に嘆いて帰ったそうです。
工業製品の殆ど全てを諸外国から頼らなければいけない現状は我々日本の経済から見ると異常です。この国の人々からすれば最近の日本の食料自給率が60%程度しかなく、その多くを輸入に頼っている事を知って驚いています。これは彼らの日からすれば異常な事に映ります。果たしてどちらが幸せなのでしょうか? この国の経済の動きはどうなっているのでしょうか?
ネパールに於いては最近、隣国インドの力を借りて自国の工業化を始めたようで、その成果は着実にあがってきました。食品加工産業もある程度進展しました。 薬品の一部もネパール製が登場しました。
工業化の意図はその国が充分な労働力を吸収できない場合の切り札ともなります。国全体が農業だけで成立しないから必然的に工業化を計り産業構造の転換を始めようとします。また観光産業のようにサービス産業へ目を向ける国もあります。多くの国が工業化に熱中している中でこの国は特殊な状況に置かれているようです。しかし工業化が進まない事は無公害国家とも呼べるでしょう。産業廃棄物の心配もなく公害にも悩まされる事もなく人々は平和に暮らせるのかも知れません。最近はヤンゴン市内での排気ガスが増えて来たようですが、乾季の真っ青な空に金色のパゴダが堂々と輝いているのがミャンマーの姿ではないでしょうか?

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