2017年3月26日日曜日

11.7闇価格



11.7闇価格


この記事は1998年にミャンマーを訪問した際の日誌を再編集したものです



まだ活躍している
社会主義特有の政策として配給制度があります。ミャンマーも例外ではありません。 そしてこの配給制度が次第に闇価格の発生源となっているめです。 諸外国からこの制度を撤廃するように圧力を受けているのですが現在もしっかりと二重価格の下で人々の生活が成り立っています。
この現状を実例を持って紹介しましょう。 昨年の話しとなりますが、ガソリンは配給制での価格即ち公定価格は1ガロン(4.5リッター)当たり25チャットですが、一週間を超えると配給制の枠を越えて別途買い求めしなくてはなりません。この時の価格が何と10倍近くの270チャットとなります。この数字は計算し直すとリッター当たり40円程度となりますから、世界の標準価格に近いものです。 かくして闇商品は軍部の倉庫から大量に出回り社会の秩序を保っているわけです。 パガンからインレーへ向う道中でバスが民家に入っていきました。 何が始まるのか当初は不可解に思っていたのですが、やおら兄ちゃん達がでてきてポリタンを使って車への給油を始めました。メーター付き'の給油ポンプ等ありません。全て人海戦術です。 旧式なる漏斗とバケツ(ポリタンク)の原始的方法です。これだと停電でも心配がありません。
 スタッフはお金を支払い何事もなかったように次の目的地に向って疾走をはじめました。これで一石三島とでもいいましょうか。 軍人も生活安泰、乗客も無事目的地に到着出来ます。 闇ガソリンスタンドも経営が成り立ち、誰も不都合を感ずる事なく社会の歯車が回る、それがミャンマーの一面です。しかし木造バラックの簡易ガソリンスタンドと煙草好きなミャンマー人の組み合わせは大変危険では?
最近ヤンゴンのビジネスマンの新兵器は携帯電話です。これも割り当てを越えた部分は闇
販売で購入しなくてはなりません。  現在一台あたり3,000ドルで取り引きされているそうです。
商売をしている人にはかなり便利な機器で何処にいてもヤンゴン市内では連絡が取れる便利さがあります。通話料金は一回当たり受信で2チャット、発信で3チャットです。一ケ月に1,000-2,000チャットの請求書が回って来るそうです。.本体の価格と通話料金は余りにもかけ離れていると思いませんか?
郵便料金は最近値上げとなりましたも一気に6倍に上昇です。 以前日本へは封書が5チャットでしたが今は30チャットです。 それでも日本円で換算し直しても15円です。 電気料金は政府の統制価格とかで他の国に比べると格段に安いのです。-ユニットあたり2.5チャットです。 即ち125銭という数字になります。
ネパールの宿は最近太陽熱利用の温水器を導入して電気代の節約に懸命ですが、ここミャンマーでは安宿に泊ってもホットシャワーをふんだんに利用出来ます。 但し停電でない限りですが。こうした二重価格は多くの商品に摘要されているそうです。 この国の物価体系は我々の知る範囲を大きく越えています。 しかし庶民は公定価格と闇価格の二重構造を巧みに混ぜ合わせながら生活しています。

0 件のコメント:

コメントを投稿