2013年5月1日水曜日

第3日目 ジヌからバンブー

ジヌからチョムロンの急坂

今日はトレッキング第2日目です。昨日からの雨は上がり爽やかな青空が開けています。山の中腹にポツリとジヌダンダが数軒の宿を抱えて村の景色を形どっています。朝食はグルンブレッドと紅茶の簡単な組み合わせです。グルンブレッドというのは耳に新しく響きますが、昨年のランタントレッキングでは、毎朝チベッタンブレッドと紅茶の組み合わせでした。所が変わると同じローカルブレッドといっても呼称が違ってきます。この地域はグルン族が多く住み、地元製の発酵菌を使わないパンをグルンブレッドと呼んでいます。ランタン方面のブレッドは鉄板で焼いたものですが、ここでは油で揚げたものが供されています。これに、ジャムや蜂蜜を付けて食べるのが毎日の日課となりました。朝食としては丁度良い分量です。昨日はロシアの青年達が夕方5時頃到着しました。彼らはアンナプルナ・ベース・キャンプをその日の朝出発して、ここジヌ・ダンダまで到達したそうです。まさに健脚コースで、丘を超え、谷を渡りかなりの強行軍だったようです。若い彼らならでは、出来ることでしょう。日本とソ連が戦争になったら、彼らにはかなわないかもしれません。


そんな彼らは今日はポカラ方面に向かうとの事、我々はこれからアンナプルナ・ベース・キャンプに向かう事になります。予定通り7時起床で8時出発です。我々が宿泊したのは、村の入り口ですが、ここから先まだ数軒の宿が並んでいます。よその庭が綺麗に見えるというのは、この事でしょう。通りすがりの宿が高級そうで設備が良いのではと疑念を描くことがしばしばです。まあ、私達にとっては、快適な安眠と適当な食事が最高の贅沢です。カトマンズやポカラ市内と異なり、ここでは、どこに泊まっても夜は決まって静寂の中です。雑踏、電子音、電磁波に悩まされることのない別世界に浸るのも、トレッキングの醍醐味といえるでしょう。
さて、ここからは、急な登りが続きます。8時頃に出発し、チョムロンに到着したのは9時20分です。一応標準的なコースタイムと言えるでしょう。チョムロン村といっても、範囲が広く村の入り口から出口までは優に30分以上かかります。ここ、チョムロンからは、雄大なマチャプチャレ峰の姿を目前にすることができます。幸いに天候に恵まれ、我々はいつまでも飽きの来ないマチャプチャレの勇姿を見ながらティータイムを楽しみました。心の中に、帰りはこの宿に泊まろうと密かに作戦を練っていたのです。宿の主人はちょっと無愛想でしたが、設備といい、庭といい、ロケーションといい、最高の場所です。
最近このコースでは韓国語の看板が目立つようになりました。ここチョムロンだけではなく、各地でハングル文字を見かける事が多くなったのです。カトマンズ市内でも、日本語の看板は最近目立たなくなり、増えたのが韓国語と中国語の看板です。日本からの観光客の数は以前と殆ど変化がなく、年間2万人強の数字がここしばらく続いています。そうした中で、東南アジア諸国からの観光客(マレーシアやシンガポール、台湾そして中国)からの客も増加し、単なる観光だけではなく、トレッキングブームに拍車をかけているようです。
チョムロンからの眺め
休憩したチョムロンの宿からは、深い谷を挟んで対面に見えるのがシヌワとう場所です。随分遠くに数軒の家らしきものが点在しています。しかし、人間の足は結構早いもので10時にチョムロンを出発した2時間半後の12時半には無事シヌワに到着です。このシヌワと言っても集落は広範囲に渡り、我々はそれを上シヌワ、中シヌワそして下シヌワという名称を付けることにしました。チョムロンからは一気に下り坂の石段が続いています。それを過ぎたかと思うと、登りの連続です。もう、本当に死ぬわという気分になり、クタクタです。シヌワまで来ると今日の目的地バンブーまで一時間半の行程です。ここで、昼食そして一時間程休憩を取り出発です。上シヌワに着く手前には、「ここからは、自然保護地域で自然との共生を目的として一切の肉食はご遠慮下さい」という看板がありました。巡礼地として有名なインドのヒマラヤの奥地バドリナー
シャクナゲも満開(チョムロン)
トやケダルナートという聖山として知られている地域ではトレッキングと言えども肉食は一切禁止され、菜食主義を貫いています。ここは神聖なる峰マチャプチャレを抱えています。後日知った事ですが、肉食禁止と言っても、更に奥地に入ってみると、ツナ入りサンドイッチとかツナピザなどが提供されて、それを美味しく頂いて来たのですが、ツナは肉食の類ではなかったのかと疑問を感じてなりません。
昼食が終え、さて、出発となる頃、にわかに空模様が怪しくなって来ました。歩いて30分ほどすると、小雨が降り始めたのです。早速雨具を用意したのですが、雨足が次第に強くなり、一旦木陰で様子を見る羽目になりました。しかし一向に止む気配はありません。先へ進むか、昼食を摂ったシヌワに戻るか判断に悩むところです。何となく迷いが溶けなく膠着状態です。幸いに現地のポーターと出くわし、彼ら経験に基づ
地元の人々と雨宿り
いたお天気予報に頼ることになりました。「しばらくしたら雨が上がるよ」という彼らと共に大きな岩陰に身を寄せて待つこと30分、ようやく空が明るくなって来ました。小降りになった頃を見計らって出発進行です。予定を少し過ぎて4時過ぎには無事バンブーに到着することが出来ました。今日は昨日に比べると歩行時間は倍ほどありました。さぞかし皆疲れた様子です。
こうした辺地でもガスボンベが担ぎ込まれ台所はガスを利用しています。ガス瞬間湯沸かし器を利用したホットシャワーは有料で150円(150ルピー)となっています。現地語で話をしていると、次第に打ち解けて様々な情報が入り込んできます。この近辺にはクマが出没するようです。地名からしてこの辺りはクマの好物となる竹林の連続です。この宿のスタッフはカトマンズ郊外のスンダリジャルから歩いて4時間ほどの距離にあるチソパニという地域から出稼ぎに来ているとの事。雨季になると、ここバンブーには五軒の宿があるのですが、一軒だけ営業し、他は休業するそうです。その間は休みを取って故郷に帰るとの話です。小さいながらも、谷間の空地を利用して家庭菜園もやっています。
今日は疲れも溜まり、ぐっすりと休むことが出来るでしょう。夜は殆どすることがないので、以外と早く床に着くことになります。その分朝も早く目覚めるわけで、健康つくりには持って来いかもしれません。

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