宿を出発する時に宿の主人に確かめる「とグルジュンまでは比較的平坦で2時間かかります。それからちょっと上り坂になって2時間も登ればタダパニに到着する」と言う話でした。となると朝7時に出発するとお昼ごろには終点のタダパニに到着出来るものと、気分も明るくなってきました。今日も空はどんよりと霞がかかっています。何となく嫌な予感がします。アンナプルナ山群も姿をみせようとはしません。
意気揚々と歩き始めたのですが、すぐに難関が待ち受けていたのです。30分ほどのどかな田園風景を楽しみながら進んでいくと、目の前に急な坂が待ち受けていました。トレッキングの始めの頃は、坂道があっても、元気良く踏破したはずですが、昨日といい、一昨日といい、午前中で目的地に到着していました。どうも帰路となると、体が訛ってしまうようです。こんな険しい登り坂が待ち受けているとは、宿の人に恨みを買っても仕方ありません。ちょっとし
た峠のような所です。しかし、ここからは、遠くに今日の目的地なるタダパニが遠くに霞んでみえています。よくよく観察すると、何だか一度谷をくだらなければなりません。下って又登ってという世界です。あんな所まで行かなければならないのかと、絶望の淵に追い込まれる気分です。7時にチョムロンを出発して、丁度1時間でヒルトップに到着です。まあ、急ぐことはありますまい。ここでおよそ30分の休憩をとりました。その後は1時間ほど、ゆるやかな下りでグルジュンの村に到着です。ここは、かなり大きな集落で子どもたちが校庭でバレーボールを楽しんでいます。麦畑、野菜畑は、人の気配を漂わせています。次第に目的とするタダパニが近くに見えてきます。しかし、ここへ辿り着くには、一度川まで下り又登らなければなりません。更に1時間ほど進むと、吊り橋に着きます。橋を出発したのが午前10時です。ここまで3時間かかったことになります。さて、この橋を超えると今度は登りの連続でした。段々畑の中でトレッカー達と挨拶を交わしながら進みますが、なかなか先が見えてきません。中には、重い荷物を自分で担いで先を急ぐ外人に追いぬかれたり、ステッキなして、恐る恐る急な坂を下りつつある金髪の女性がいたり、フランスからの家族旅行のグループがいたり、多種多様です。何とか、この坂道をクリアしたのは、およそ1時間後でした。チウレでは、段々畑から森林地帯にはいる手前にあるロッジで昼食です。ここのロッジは、ものすごく広い庭があってのんびりと出来ました。我々はたっぷりと1時間の休憩をとって出発です。ここから先はジャングル地帯ですが、通行量も多く道に迷うことはありません。キャンピング・グループでしょうか、テントやテーブルそしてクッキング用のストーブを運んでいるポーターにも出会います。規模の大きなキャンピンググループとなると、ポーターの数も少なくはありません。重い荷物を苦にするわけでもなく、全員楽しそうに歌いながら仕事をしているように見受けます。木陰の中を歩くのですから暑くもなく、寒くもなく、しかも、原生林の中を歩くという雰囲気ですから、大袈裟に言うと「深山幽谷」の中を前進です。しかし残念な事に、この幽玄な気分は1時間もかからずに午後1時30分には終点のタダパニ到着したのです。ここの宿はガイド見習いのケダールが気を効かせて前もって携帯電話でチウレから予約を入れてくれました。タダパニでは比較的評判の良い宿です。部屋代も交渉なして、事前にそっと割引をしてくれます。私達の三人部屋はメニューでは300ルピーとなっていたのですが、実際は200ルピーの出費でOKです。僅かな金額かもしれませんが、こうしたささやかな割引は何となく嬉しくなってくるものです。
ここまで来ると、多少は都会の匂いを感じる事ができます。受付で応対しているのは、可愛いお嬢さん達です。次から次へと入ってくるお客さんの応対や部屋割りで忙しいそうに、キビキビと動いています。ヒマラヤンから先の宿、デオラリやMBCそしてABCの宿では、そのスタッフは男衆だけの世界です。メニューにはトーストと書いてありますが、それを詳しく聞くと、ポカラから運んでくる酵母で発酵させた西洋の食パンがあるという回答でした。早速翌日は久しぶりのトースト・バター・ジャムのセットを申し込んだのは言うまでもありません。
さて、明日の予定は、プーンヒルに行こうという当初の計画は、果たしてどうなる事でしょう。今日は終日曇り日でした。結局明日の天気を見て西のプーンヒル方面へ登りの道を進むか、ガンドルック方面の下りの道を進むか決める事になりました。
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