ヤンゴン駅構内では、当日分の予約しかできません。数日前の予約は予約センターに行くことになります。列車の予約は確か3日前から可能との事で、翌日の予約を狙ったのですが、残念なことに2つしか席がありません。結局もう一日ヤンゴンに滞在することになりました。ヤンゴン発夕方16時で翌日9時半にパガン到着の予定です。料金は16500チャットすなわち日本円に換算すると1650円です。距離はおよそ600キロほどですから、東京から神戸の距離です。しかも寝台列車となっているので、心が踊るのも無理はありません。事前にネットで調べると、結構体裁の良い車両になっています。
さて、いよいよ出発当日がやってきました。ヤンゴン駅は宿から歩いて15分ほどなのですが、荷物を背負って暑い中を歩くのも大変です。流しのタクシーが次から次へとやってくるので、簡単に手配ができます。といっても日本のようにメーターがあるわけではなく、行先を告げて値段交渉が必要になります。こうした場合、現地の相場を知っているか否かで、支払う金額が大きく異なってくるものです。タクシーの料金はおおざっぱな設定です。市内の移動は1500チャットぐらいから、7000チャット(夜遅かったり、渋滞があったり)が相場なるようです。我々外国人の場合は1000から7000チャットで1000チャット刻みで数字を覚えればよいわけです。1000の単位はタウンと発音します。1000、2000、3000そして4000、5000となれば、タ・タウン、ナ・タウン、トン・タウン、レ・タウン、ガ・タウンとなります。五百はガヤと呼ばれていますが・・・。
ミャンマー国鉄の列車網は整備が遅れているようで、各地への主要列車はまだまだ本数が少なくがらんとしているのには、驚きます。インドは列車天国で、どの駅もいつも混雑しています。列車よりも、今はバスでの移動が普及しているようです。ヤンゴンからミャンマー第二の都市マンダレーへも新しく高速道路が開通したので、そちらの方が早く着き利便性が高まっています。そうそう、マレーシアは道路事情が良いので鉄道輸送よりも、バスが何かと便利です。さて、こんな閑散とした駅構内にも、スマホ充電用のコンセントがいくつも並んでサービスされています。駅構内には、外貨両替窓口もあり、キオスクもあります。主要列車は、一番線ホームからの出発になっているようで、出発の⒑分ほど前にゲートが開く仕組みになっています。まるで、それは、空港で機内に乗り込むようなシステムにそっくりでした。
待望の列車がやってきました。ミャンマーの人々は意外と親切で気配りをしてくれます。駅員はどのあたりに待っていれば良いのか親切に教えてくれます。まあ、ミャンマーの駅はどこも暇そうで、乗客の割にスタッフが多いのも現実です。又、日本同様でミャンマーの場合英語があまり通じません。最近日本でも、都会では英語を頻繁に耳にすることになりましたが・・・。いやいや、驚きの車両です。全部で6両編成ほどだったかと思います。私達の寝台列車は一車両が5つに区分され、一つの部屋には二段ベッドが二組配置されていました。あれあれ、冷房なし、クッションは多少あるようで、マット敷になっています。それぞれのベッドには、シーツが一枚づつ乗っかっています。さて、このコンパートメントは、完全に仕切られて、閉じ込められる方式です。貸し切り状態とはこれの事でしょうか?安全といえば安全、しかし非常事態になった場合はどうやって助けを呼べば良いものでしょうか?
列車が出発して、雨が降り始めました。所で、この窓を閉めるには一苦労です。完全に締め切ってしまうと、部屋の中が蒸し暑くなります。窓の隙間に何かを詰め込んで少しでも風が入るように工夫したり、いやはや大騒ぎです。しかも、列車はガタン、ゴトンと揺れに揺れ始めました。縦揺れと横揺れの両方が同時に襲ってきます。路盤の整備が行き届かないのでしょう。でも速度はそんなに出ていないので安心です。これで、一晩中揺れれる羽目になりました。真夜中に、数回体が宙に浮いたようで、はっと目が覚めることもしばしばありました。何にもない大平原を列車は西北に向かって時速30キロほどで進んでいきました。ヤンゴン市内を抜けたあたりから、少しは速度を上げたようでそれでも最高速度は70キロ程度でした。安全第一です。これで、速度を上げようならば、脱線転覆へまっしぐらになったことでしょう。
さて、こうした囲まれてしまった寝台車の場合、どのようにして食事の提供がなされるもrのでしょうか?今までの列車は、通路があって、それぞれの車両への移動が可能でした。が今回は孤立状態です。出発前にレストランの係が注文を取りに来ました。話によると夕方7時半ごろお届けするとの事です。事前にビールと食事を注文しておきました。予定の時刻に小さな駅に停車したのです。窓の外を見ると、少年達が、飲み物と食事を入れたビニール袋を抱えて待機しています。なるほど、なるほどすかさず窓を開けて注文の品を受け取りに成功。大きな混乱もなく、ビニール袋には注文の品物がパックされていました。これも、スマホのなせる業かもしれません。事前に何号車の何番目の窓のお客が、これこれを注文しているからとの連絡が入っていたのでしょう。驚異的なサービスがあるものです。まあ、これもおもてなしの一つかもしれません。まあその分料金は通常のレストランよりも3割ほど割高でしたが・・・・。朝食も同様にして朝7時半過ぎに無事ゲットです。朝食を受け取った時には、次の駅で集金するから、この金額をお願いしますという紙切れが渡されました。こうして支払いも無事完了。そういったスリルのある食事の注文でした。
さて、食料は無事私達の手許に届きましたが、相変わらず時々大きく列車は揺れています。なるほど、テーブルには、瓶が倒れないように、ボトルホルダーも設置されています。これなら、少々の揺れには対応してくれるでしょう。列車が出発してから1時間も過ぎると夕暮れの時刻です。雨もあがり、沈み行く夕日を眺めながら、ゴトンゴトンと揺れれるのは、心地良いものがあります。
干場氏は『縦揺れ・横揺れ・斜め揺れ』と 記していますが、実際はそれに『上下揺れ』加わります。ビールを飲むには、揺れる方向と強さを予測して、柔軟に対応しなければなりません。マレーシアで2回寝台車を経験しましたが、今回に較べると物足りません!それに、今回は強烈な冷房がないので、体に良いでしょう。車窓からの光景で、ミャンマーの国土の広さを実感できました。また 大地に沈むサンセットは圧巻でした。
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