ミャンマーは最近電力事情がすごくよくなりました。今回はヤンゴンとパガンそしてパゴーを訪問したのですが、こうした都市部や観光地では、電力事情が大きく改善されました。12年前に訪問した時は、ヤンゴン市内は、一日毎に停電の日と通電の日が交互していました。そんなわけで、どこへ行っても、路上もしくは、ビルの一角に巨大な発電機が装備されて、うなりをあげていたものです。ホテルで部屋を選ぶ時には、できるだけ発電機から離れることが鉄則でした。東部のモールメインという町を訪問したことがあります。当時の状況は悲惨そのもので、電線がたこ足配線のごとく、電柱と電柱に絡まっていました。ここ長い間電気が通じたことのない電線そして電柱が立ち並んでいたのです。夜行バスで長距離を移動すると、町や村の明かりを見いだすことは、皆無に等しかったのです。中継する地方都市は、少しは電気があるのですが、薄暗く周囲を照らしているだけでした。ミャンマーは、こうした状況からようやく脱却を始めたようです。
しかし、ヤンゴン市内は夜になると、裏通りは真っ暗です。スーレーパゴダ周辺の銀行のイルミネーションだけが、やたらと目につきます。ミャンマーの電気事情は一年ほど前から大きく改善されたようです。友人に話しを聞くと、電気代は単位あたり(1KWH)が25チャットに設定されているそうです。これは、日本円に換算すると2円50銭となりますから、日本の電気代の一割程度の価格ともいえるでしょう。友人の家では、毎月12,000チャット、すなわち1200円程度の電気料金の支払いがあるそうです。彼の家は5LDKのマンションの6階にあります。冷房はないものの、冷蔵庫や大型液晶テレビそして、扇風機などかなりの電化製品にあふれています。1200円を⒑倍すると12,000円となります。通常日本でも5人家族の家庭だと、一か月の電気料金が8000円から12000円程度になっているかと思います。なるほどとうなづける金額です。
先日パゴーを訪問しました。ヤンゴン行きの列車の切符を購入するのに、駅長室へ直接乗り込みました。ミャンマーの鉄道駅での切符購入は、何せ直接駅長室に向かえば親切に対応してくれることになっています。日本人と知り、ますます友好的になってきます。駅長さんと話しをしている時に、あなたのお家はと聞くと、この駅が私の家という答えでした。なるほど、家賃は無料、水道代も無料で恵まれた環境です。それで、給料は一か月70,000チャット(7000円)との事、これで子供が三人抱えて(高校生ぐらい)の暮らしだそうです。その中で電気代は7000チャット(700円)ほど支払っているとの事でした。そういえば、まだ日本では、簡易郵便局なるものは、概して自宅を利用して営業する仕組みになっているとか!何か似ている感じがしないでもありません。しかし、彼らは一か月7000円の給料で家計をやりくりできるはずがありません。何かしら、数字に表れない謝礼がぼこぼこはいり、それが暗黙の了解で日常生活になじんでいるのがミャンマーの世界かもしれません。
私の乗るヤンゴン行きの列車は、シャン州のインレー湖方面からやってきます。この列車の最後の3両は貨物列車混載で、ここパゴーの駅では大量のキャベツやカリフラワーを降ろしてからの出発です。案の定、誰かが駅長さんに近寄って現ナマをさりげなく手渡していました。こうした状況は随所で見かけるのがミャンマーの特徴です。
しかし、ミャンマーの田舎に行くとまだまだ、電気のない場所が数多くあるそうです。私達にとって電気のあるのが当然で、電気のない生活、水道のない生活は想像を絶するものがあります。それで、停電になるとすぐパニックになってしまいます。電気のない生活に慣れていると、それが、当然の事であり、日常生活には格別不便を感じないのかもしれません。しかし、現代社会に突入しつつあるミャンマーは、今後どのように変化していくのでしょうか?急速に広まっていくスマホには、電気が欠かせません。通常の家電のように、大きな電力を消耗するわけではありませんが・・・
そうした状況に対応するかのように、ヤンゴン駅構内では、無料でスマホ充電用のコンセントが提供されています。空港の待合室でもSamusun社の看板の元で、スマホ充電をご自由にどうぞということで、コンセントが並んでいました。一杯25円から30円の喫茶店でも、各テーブルには、4口コンセント付きの延長コードがぶら下がっていました。
こうして、ミャンマーの生活を見ていると、柔軟に対応しているようです。日本だと、駅構内のコンセントから勝手に充電しようものなら、盗電騒ぎに発展しかねません。
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