2018年12月20日木曜日

スマトラ2018 11月26日(月曜日)日本語ブーム



大学の二階からの眺め
今年の新入生の中で熱心なのが3名います。その中の一人パルディは日本語にも興味があり、先生方の推薦もあり、日本語教室を開いて欲しいという要望がありました。しかし、彼は仕事をしながら学校に通っていますから、時間の調整が難しく思うように日本語教室は進みません。
なぜ日本語まなびたいのかと聞くと、彼らが日本語に興味を持ち始めたきっかけは日本のアニメにあるようです。昨年の学生の一人で今は二年生ですが、彼のニックネームはナオキで通じます。アニメから拾った日本語が次第に昂じて、日本、そして日本に興味を持つというケースが多いのです。インドネシアの高校では、第二外国語として英語、日本語、中国語のいずれかを選択することができるそうで、日本語もかなり人気があるのが一つの理由です。多くの学生達は、「センセーという言葉、「あり」がとう」は知っているようで、日本に関心のある学生も多くいます。
パルディの家から自宅から大学までバイクで30分ほどかかります。大学からアルバイト先までは更に20分ほどかかります。仕事は朝早かったり、夜遅かったりで、一定ではありません。24時間営業のネットカフェ兼コピー屋で働いていますが、一ヶ月の給料が600,000ルピアですから日本円に換算して5000円ほどの収入になります。その他若干の食事手当などがつくようですが・・・。
そんな彼は日本語学習希望者三人の中で最年長の23歳です。家庭の事情で入学が遅れたようですが、不足の授業料を賄うためにアルバイトも兼ねる忙しい日々を過ごしています。日本語教室は必須ではなく自由参加なので、彼らが集まることができる日を決めてもらって開催することになりました。最終的には調整つかずで、三回ほど日本語について説明することが出来ました。
今日も招待を受けました。
私の場合は不完全ですが、数カ国の言葉を操ることが出来るので、説明は極めて容易です。インドネシア語と日本語の文法の違いも実例を挙げながら、わかりやすく解説することが出来ます。彼らは頭脳が柔らかいのですんなりと受け入れて来ます。3回ほどの講義で日本語の仕組み、発音などの心得が少しばかり吸収したようです。日本語教育の手法としては、2つの方法があります。イマジーション方式というのは、教室内で日本語しかつかわない方法で、多くの場合はこの方法が採用されています。果たしてこれでいいのだろうかと疑問を感じることがあります。
高校生ぐらいになれば、自国の言語や第二外国語などの文法構造などがある程度理解しているはずです。こうした状況では、日本語のみで日本語を教えるという方法は無駄が多いのが事実です。私の場合はたどたどしいながらも、工夫をして、インドネシア語と日本語を対比させて、インドネシア語で教える方法が最適と感じました。この方法が彼らにとっては理解しやすいのは当然です。日本語教育で、高度な日本の文化を日本語のみで教えるには、限界があります。彼らの母国語で説明を加えると、ものの5分もかかりません。同じことを日本語のみで教えようとすると一週間かかって、ようやく理解することになります。基本的な文の構造や類似性を把握すれば、後は語彙を増やせば彼らの言語力はどんどん伸びていくはずです。
事実上、日本ではバイリンガル(対象となる受講者の現地語と日本語)で教える人材が極端に不足しているのが現状です。日本語教師としての資格があっても、それは、近年の国際化からは、大きく道を外しているかのように見えます。あくまでも文法として正しい日本語の伝授、そして日本文化の伝承(これには高度な日本語能力が必要)に主体をおくだけで、実務としての日本語教育はおいてきぼりにされているのではないでしょうか?
一部の外国人労働者が必要に応じて習得した実務的な日本語のほうが、はるかに理解しやすい場合があり、彼らにとって、日本語を通じての日本文化の理解などは、後日必要に応じて学んでいけば良い事です。
彼は自宅にパソコンを持っています。アルバイト先でもインターネットを自由に使える状況です。彼とは、ここ数日ローマ字表記の日本語でチャットをしていましたが、パソコンに日本語入力システムを入れることで、ローマ字のタイプ入力の変換でひらがなを表示することが出来ます。チャットを通じて設定の方法を伝授した結果、見事日本語入力システムを導入してひらがな混じりのメッセージを送ってきました。これには、彼もびっくりです。又新しい方法が身についたようで大感激です。更にこれをGoogle翻訳にかけると読み方がローマ字で表記されるので、便利そのものです。こうした事でファルデは何となく新しい一歩を踏み出したのです。
こうして得た知識やノウハウは、即友人同士に伝わります。授業を進める上でも、ワークショップで完全にマスターした学生は、まだ理解していない学生をサポートしています。最近は私が指令しなくても、自らその役割を果たしてくれます。

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