2011年1月14日金曜日

インドの巡礼団

南インドケララ州の山奥に一年に二ヶ月の間しか開門しない南インドの有名なお寺があります。。例年11月中旬から1月中旬の二ヶ月がここサブリマライの巡礼の季節です。25人のグループの事例を見ると、1週間のコースで車を借りきって一人あたり2000ルピー、一週間(7泊8日)の食事代、宿代が2000ルピーそして、お土産代が凡そ1000ルピーで足りるということでした。さて、これを日本に置き換えるとどうなるでしょうか。日本のそれはハイクラスの設定ですから、単純には当てはまりません。生活物価から想定すると・・・。通常このクラスの人々の月収は10,000ルピーちょいということでしょう。そうなると半月分の給料で1週間のツアーに参加するようなものです。日本の通常のパターンに当てはめてみると25万の給料の人が一週間の四国お遍路参りのツアーに12万円ほど支払うという感覚でしょうか?あくまでもインドバーションのツアーですから、ギュウギュウ詰めの車内、深夜を問わずに運転手二人で猛運転で猛スピードが基本。お客さんは狭い車内で座り眠りを特技とする人々です。しかし、この企画はものすごく人気があるようで、時期になると賑わっています。大体、男性は頭を丸めて、気分一新、懺悔を含めて参加しているようですが、どうも、身についた悪癖は容易に元に戻ってしまうようです。
さて、このインド人の巡礼はなかなか迫力があります。日本でいえば、江戸時代にお伊勢参りが盛んだったような風情を醸しだしています。出発となると、近隣や親戚から餞別が手渡されます。餞別を頂いた場合は、その半分程度のお返しをするのが一般的です。さて、お土産として人気のあるのが、甘いお菓子です。日本の感覚でいうと、大阪の土産は岩おこし、京都の八つ橋、伊勢のまんじゅう。そういったものに該当するでしょう。行った先々でお菓子を買いまくる人もいます。ケララ州の山間部にあるサブリマライにはアイヤッパーという神様が健康祈願として鎮座されているわけです。さて、巡礼に出かけるとなると気分一新で、禁煙、禁酒を余儀なくされます。この寺院は森の中に位置し、通常40キロの道を二日かけて歩くことによって、健康成就につながるとされています。なるほど、それは理にかなっているでしょう。この期間は参拝者は誰もが菜食主義を貫きます。これだと健康そのものの日々が送れそうです。巡礼に出かけたいと思うと、借金をしてまでも参加する人も多いと聞きます。先日、電気修理屋のアルナ氏の息子が巡礼に出かけて帰ってきました。勿論お土産には甘いお菓子をたっぷり持ち帰ったわけです。お父さんはそれをがぶがぶ食べて血糖値がグンと上がり、よもや糖尿病ではないかと心配になりました。数日後に、これは甘いものを大量に摂取したことが理由だったそうで、一件落着したわけです。祈願する寺院(神様)によって衣装がことなるわけです。いわゆる赤色軍団、黒色軍団と出で立ちもそれなりのしきたりがあるようです。
動画は、赤色巡礼団を取材したものです。有名なサブリマライ(マライはタミル語で山の意味)巡礼団は黒装束で固めています。チェンナイからペナンへのフライトも、巡礼団が半分ほど占めていました。この時期になると熱狂的なヒンズー教徒が世界各地から集まるようです。インドは宗教の多様性を誇る国ですが、同時に、それは、宗教間の対立を生み出すと共に、自分の属する宗教に対して熱狂的にならざるを得ないという背景を読み取ることが出来ます。それぞれの宗教によって、聖地が異なります。所得の向上と共に、いや、所得が少なくても、お寺参りは欠かせないというのがインドの現実といえるでしょう。
この記事は現在マレーシアに移動しましたが、回想録を兼ねて掲載しています。

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