2017年12月5日火曜日

スマトラ紀行(26) サルマンの家

マウンテンバイク!
さて、お姉さんの家で遅い朝食を済ませてブキッテンギにあるクリーニング屋に帰りました。23年程前に訪問したことがありますが、当時は乗り合い小型バスに、満員の車が走っていました。今はバイクの普及によって、朝晩に通学する子供達が利用する程度で、世の中は大きく変わってしまいました。バイクで30分もすれば町に入ってしまいます。時間に縛られることなく、便利なものです。インドネシアでは5年毎にナンバープレートを新規に申請しなくてはならないそうで、その費用がおよそ4万円ですから、一年に8000円ほど別途費用がかかります。8000円というのは、現地の物価からすると高額です。平均給与が30,000円ほどしかないわけですから、大変な出費です。勿論彼らにとっては、我々のように事前に蓄えて置くという考えは希薄です。いざという時には、皆バタバタするようですが、それが、意外と何とかなるというのが、この国の実情です。そんなわけですから、ナンバープレートのないバイクをこっそりと乗り回している輩も出る始末です。友人のニコさんもその一人なんですが、罪悪感など微塵もありません。いつもにこにこ笑ってごまかしているようです。しかし警察の取締に見つかると高額な罰金を払わなくてはならないので、それだけは避けて行動しています。

自宅で夕食
今日からは、サルマンの家に泊まることになりました。この家の最大の権力者は義母です。そして次が奥さん、最後にサルマンという図式ですが、義母や奥さんを説得して、ようやく私を自宅に宿泊してもらう了解を得たようです。一般的に回教徒の家に異教徒が泊まり込むケースは殆どありません。いやはや、彼は真剣になって取り組んでくれたようです。勿論食事も家で取ることになりました。6歳の女の子と4歳の男の子がいますが、可愛い顔をしています。寝室が3つあって一つは空いています。そこには、衣装がずらりと並んでいます。タンスや引出しには、愛らしいワッペンがベタベタ貼り付けられています。奥さんは幼稚園の先生だそうで、なるほど、このワッペンの意味がわからないでもありません。毛布は、私が泊まるという事で、今日購入したばかりです。花柄の可愛い毛布ですが、ちょっと恥ずかしくもなります。家にはバイクが二台、一台は奥さん専用とかでピンク色です。ヘルメットは夫婦とも同じデザインで、これまた少女コミックの主人公を模したような柄でした。
私達とは、大きく文化の異なる世界に踏み入れた事に新しい感激、感動が沸いてきました。日本だと40歳も過ぎると派手な柄を選ぶ人々はまずありません。日本の文化自体が水墨画の世界に根源を持っているからとも言えますが、10代の頃は、色彩豊かで、アニメの主人公などのデザインを好みますが、年齡と共に落ち着いてくるというのが私達の文化です。しかし、この国では、そんなわけではありません。年をとっても、愛らしいデザインを好むようです。7歳年下の弟夫婦もこの町に住んでいますが、彼らの好みもやはり、アニメの世界です。すごく異質と感じますが、彼らの信奉するイスラム教の教えからも、その答えが出るのかもしれません。純情な性格を維持すれば、年齡を重ねてもアニメが好きになるようです。じっくりと彼らと話をしたり、交わっていると、その素直さにびっくりします。いわゆる駆け引きという言葉が去勢されたような社会です。それは、ある意味では社会の安定に寄与しているのかもしれません。
お店からバイクで15分ほどで自宅ですが、夕食を済ませて部屋で休んでいた奥さんも、挨拶に登板です。今日はゆっくりと休めそうです。

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