2012年2月11日土曜日

ボデスカ学園の校長

さて、この学校はものすごく楽しい学校でもあります。ここの校長さんが一風変わった人物です。旦那は元ミャンマーの大使館に勤務されていたそうで、会うと大概その自慢話から始まります。今はコルカタ市内のど真ん中で一人暮らしです。いつも近くのバス停まで送迎がついての出勤です。時々ヒステリックな声で生徒達をしかるつけている光景をよく見かけるわけです。
それで、一人暮らしの彼女は大の犬好きで、この学園内に三匹の犬を買って世話をしています。勿論、毎朝与える牛乳(1リットル)や食事は、この学園の費用で賄われています。寄宿している生徒の何人かが愛犬の世話係として指名され、常に気を配っています。
一昨日、その中の一匹がちょっと元気がないので、獣医の診察に出かけました。診断後獣医から、三回分の注射をするように、薬剤と注射器をもらった校長は、三度に分けて打つのを一度に注射してしまったようで、即犬はぐったりしちゃいました。大慌てで、生徒三名が付き添って車で再度、動物病院へ急送したわけです。

インドの農村では、人々は滅多な事では医者にかかりません。先日この学園内でココナツの剪定作業があった時、一人が足の親指の付け根に深い傷を負ってしまいました。その場では、熱が出たわけでもなく、痛くて寝こんだわけでもありません。誰も、それを気に留める事もありません。ほうって置けば治るという単純な思考です。翌日、学校で、その事を知った教師達は大騒ぎで、本人を病院に連れていきました。注射を打ってもらい、抗生物質を3日分ほどもらい戻ってきました。校長の後日談として、「寄宿舎内の人々はこうした事に無頓着だ、万一の事があれば、どうするのよ!」と息巻いていらっしゃいました。でも、愛犬をそこまで可愛がるのは異常!ともおもいますがね。友人のシブによると、「ここの犬は元気がないなら、ちょっと良いもの食べさせておけば直ぐ元気がでるよ。自分の失策(注射を一度にした)なのに、他の人々に沢山負担かけちゃってさぁ。」教師なる人もやはり人間で、物忘れもするんでしょうね。三匹の愛犬の食事代は一日の日当に近い額が必要です。お犬様を車で送り迎えして医者に見せるのも一日分の給料をはるかに超えてしまいます。でも、ここでは、何事もないかのように、平然と事が運んでいきました。
日本でも、最近はペットの病院が大繁盛で愛犬のためには、金銭を惜しむことなく、一ヶ月分の収入が消えることもある時代です。何処の国も似たようは部分を見かけます。
でも、この校長は時々人道的な部分も見せてくれます。このブログに出てくるインド東北からの貧困層の子供たちとどこかで出会って、ここに連れてきます。最終的な判断は僧院長に委ねられています。しかし彼女自ら、僧院長にお願いして、アビノフ(アルナチャル州のチャクマ族)をこの学園で育てられるように尽力したことを語っていました。アビノフは以前住んでいた僧院とは環境が大きくことなり、伸び伸びと、楽しい仲間に囲まれて日々を過ごしています。

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