2017年6月1日木曜日

三軒の家を訪問



昨年訪問した小児麻痺の少年
今年も彼を訪問しました。昨年は地震後一周年でお見舞いとして食料等2000円分を購入して届けました。今回は僅かながらですが、1000円のお小遣いを差し上げました。お爺さんが傍で孫の世話をしています。足が不自由で立ち上がることが出来ません。年齢を聞くと13歳になったそうです。顔にはハエが飛び回っています。しかし、その目は人懐っこく優しい目をしています。いわゆる世間の穢れをしらない素直さに溢れています。話に聞くと、政府から毎月1000円程度の金額が身体障碍者への給付として届いているそうです。さて、この金額は私達日本の貨幣価値に置き換えてみると、最低賃金の二日分程度の金額ですから、単純に考えると月1万円程度の給付と同等になるでしょう。私が近づいて手を差し伸べると、ニコニコと笑顔を見せてくれました。周囲にいた人々も、「ああ、僕ちゃんは喜んでいるよ」とささやいているのが聞こえました。私には彼の人生を変えるようなことはできませんが、彼の清々しい笑顔が私の心を慰めてくれると同時に、どうしようもない悲壮感とが交錯する瞬間です。傍にいたお爺さんは、1000ルピーのお札をそっと、孫のポケットにそっとしまいこんでいたのが印象的です。家族崩壊や子供の虐待などは日本では新聞記事に数多く報告される昨今です。家族の愛情があってこそ、周囲の愛情があってこそ、この子は生き延びているのでしょう。とにかく複雑な心境を抱えながら、家族の元を離れることになりました。



足の不自由な老人を訪ねて

さて、更にもう一軒足の不自由な人がいるというので、今日の第三件目の訪問です。幼い頃から小児麻痺をわずらい歩行することが出来ません。杖を頼りに家の中を移動することはできるのですが、それ以上遠くに出かけることはできません。83歳のお父さんは今も健在です。56歳の本人は、数度カトマンズに出かけて治療方法を探したようですが、うまく行かず、この村でひっそり暮らしています。幸いな事に結婚して娘もいるようで、比較的恵まれた環境と言えるでしょう。ここでも改めて家族関係の絆の強さを感じさせてくれます。ここまで人生を生き延びてくるには、様々な難関があったかもしれません。しかし、村では何事もなかったかのように、淡々と日々の営みを続けてきたからこそ彼等の今があるのでしょう。

文盲の老人
彼は今70歳で生涯結婚することもなく人生が過ぎていきました。父親は95歳で今も元気です。始めに、この家を訪問した時に、鋭い目つきをして、盛んにわめき散らしをはじめました。どうも、政府のやり方に不満があるようです。障害者給付金とやらが、今は300円しか来ないことに大きな不満を抱えています。私が政府からのお役人に見えたようで、ラジュさんの紹介で始めて私が日本人と知ると、途端に口元が静かになりました。95歳の父親が喚き立てるのは、お役人が途中で支給金をネコババしているから私の息子には300ルピーしか来ないというのが根本的な理由なるようです。
この70歳の盲の老人は元気そのもので、典型的なネパールの老人タイプで体格はかなり太り気味です。この老人は四人姉妹と三人兄弟を持っています。ここにも家族の助け合いがなければ、ここまで人生を送ることができなかったでしょう。この家族の中の一人は中近東のカタールへ出稼ぎに出かけて家計を支えているようです。震災で被害のあった家屋も補修、新築を終えたようで、老老が寄り添って暮らしているという不思議な空間です。さて、将来はどのような道が彼らを待っているものでしょうか?

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