2018年7月20日金曜日

カンボジア物語14. アンコールワット


カンボジア有数の観光地として有名なのは、最初に思い浮かぶのがアンコールワットです。この巨大遺跡群は、やはり度肝を抜かれます。ミャンマーのパガンにある仏教遺跡は、その広大な地域に何千という仏塔、寺院群がびっしりと並んでいるのは荘厳ですが、ここアンコールワットは、それぞれの遺跡が特色ある彫刻で埋め尽くされ、どれを見ても個性があります。
隣国タイにある古代遺跡のルーツは、ここクメール王国の遺跡の一部と解釈しても不思議ではありません。12世紀頃栄えた巨大なクメール王国の支配地は、はるか、ミャンマー、タイ、ベトナムをも包み込んだ大きなものだったのです。
その建築様式は、インドのヒンズー教が基本だと言われています。その後次第に仏教が中心となった彫刻に変遷していきます。こうして眺めてみると、インドとの繋がりをひしひしと感じざるを得ません。勿論、それは、インドが本家本元で歴史的にも、インドに軍配が上がるでしょう。ヒンズー教の伝播は、東南アジア諸国で広範囲に影響を及ぼしています。インドネシアでは、観光地兼ヒンズー教文化が広がるバリ島が有名ですが、その他にも、インド洋を挟んだスマトラ島の一部には、スリ・ビジャヤ王国が栄えた時代があります。ジャワ島では、マジャ・パヒド王国が栄えていました。

東南アジアでもヒンズー文化が栄えていたのですが、それらの形成が貧弱に見えるのは、石造建築が少なかった点にあるのでしょう。インド平原に散在するヒンズー教の遺跡群は、その多くが石を使った建築です。地学的には、石材しか、材料がなかった事が最大の原因となります。反して、東南アジアの気候は概して熱帯雨林で、どちらかというと、木造建築が主体となっています。石材の確保出来る地域だからこそ、現在でも崩壊することなく、その名残を留めることが出来ると言えます。
広大なこの遺跡観光には、車を借り切るか、三輪車を借り切るか、自転車かバイクを借りるかのいずれかの方法になります。当方は、自転車を3日間借りて遺跡を回りましたが、それでも、全部を見て回ることは不可能でした。何しろホテル、ゲストハウスの集中する中心街から7キロほど離れているので、現場に到着するまで30分はかかります。しかし、この時期は天候にも恵まれ毎日サイクリングを兼ねてじっくりと遺跡見物を行う事が出来ました。
ある寺院は、インドのヒンズー教の寺院とそっくりです。又寺院群の中には、あまりにも古く、巨大な樹木に覆われて残っている寺院もあり、それは、映画に良く登場する魔術的な雰囲気を醸し出しています。やはり一見の価値は十分あるでしょう。
さて、入場料金ですが、一日券が32ドル、3日券(一週間有効で任意の3日間)が62ドルで販売されています。この入場券売り場は、市内から離れた場所にあり、新装なった立派な建物です。世界各地の遺跡入場料としては、ミャンマーのパガンが20ドル、ネパールの古都バクタプールが15ドルなどと比較すると、若干高めですが、その内容はそれなりのものがあるように感じます。

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