2018年7月6日金曜日

カンボジア物語9 プノンペンの下町

プノンペンの市場

さて、シンさんの自宅兼店舗はプノンペン市内の下町という雰囲気が漂う地域です。近くには朝市兼夕市がたち、雑然としていますが、いろいろなお店があります。アパートも多く存在し、最寄りのバス停へは、歩いて10分の距離にあります。昔からの伝統ある古い町並みが残る下町という雰囲気ではありませんが、数十年前までは、湿地帯だった地域が、振興居住地区という感じで急成長した場所です。所々に大きな豪邸があったり、そんな中を細い路地を挟んで中級アパートがひしめきあっている場所ですから、普段の生活にさほど不自由は感じません。強いて云うならば、都市計画がなされずに急に出来上がった住宅地でしょう。「皆が思い思いで建物を作っている」そんな町並みなのです。周囲は一般的なカンボジアの人々です。格別な高級住宅地やマンション街でないことは確かです。

お店は、年中無休が基本です。カンボジアのお正月(4月中旬)とカンボジアのお盆(9月中旬)にそれぞれ数日休むだけですから、私の滞在している時は、毎日開店です。シンさんは、そのほかに2店舗支店を抱えています。何しろ忙しい日々です。
当方は、朝ゆっくりと8時頃に起きて、シンさんが抱えている過去5年間の売上帳を入力して、年別売上、月別売上など詳細な結果を得る為の作業をする傍ら、午後からは、数時間市内散策です。市内バスのルートも大体わかるようになりました。あてもなく終点まで行き引き返してみたり、イオンモール、セントラル・マーケットなどに出かけ、町の雰囲気を味わいながらの日々が続きました。
朝は近所に、愛想の良いオバサンがバケットのサンドイッチを販売しているお店に毎日通い、顔なじみとなりました。お向かいの店も時々雑貨を買いにいくので顔なじみ。こうなると、居心地は快適です。残念なのは、シンさんとの会話は日本語になってしまい、私のカンボジア語の練習が全く進みません。カンボジアに入国時には、カンボジア語で日常の買い物が出来るぐらいにはなりたいと張り切っていたのですが、無残にも、この構想は裏切られてしまいました。その半面シンさんの日本語は毎日進歩していったのです。
夕方、散策を終えてデータの整理をしていると、シンさんが支店から戻ってきたようで、大きな声で「センセー、センセー」と勢いよく声がかかります。顔をあわせると、「今日はね・・・・」嬉しそうに、今日の出来事を逐一報告です。
当方としては、快適なインターネット環境のおかげで、各種パソコンの作業が効率良くはこびます。友人たちのホームページのメンテナンスを引き受けていますから、シンさんの店舗のネットを利用させてもらい、大助かりです。お店にPOSシステムを導入するには、どうすれば良いか、その解決策を調べるには、欠かせません。
ホテルにあるようなモダンなトイレ、シャワーも魅力です。広いベッド、大型テレビ(滞在中に2時間ほど見ただけ)も備えてあります。
面白いのは、身長1メートルほどのピンク・パンサーのぬいぐるみがベッドに寝そべっています。ユニークな可愛い顔、姿をしたピンク・パンサーは私の良き友になりました。
市内散策は、何日出かけても飽きる事がありません。これと言った有名な遺跡があるわけではないのですが、出かけるごとに、何かしら新しい発見があります。ぶらりと繁華街に出かけてみたり、河畔を散策したり、周辺の寺院回ったり楽しい日々です。殆どはシンさんの家で昼ごはんを食べてから出かけます。夕方になると、誰かが夕食を準備してくれますから、自分のお金でご飯を食べることは殆どありません。三食付きの優雅な日々です。
ある朝、台所を見ると、食用蛙が皮を剥かれ、仰向けになってゴロンとしています。少しばかり嫌な予感がしました。案の定、お昼には、蛙の入ったスープが登場です。どうも、これは苦手で遠慮したわけです。
近くの路上市場は朝と夕方大混雑です。川魚の系統が多いようで、ナマズが生け簀から飛び跳ねて、路上で跳ねています。豊富な野菜が並んでいます。今処理したばかりの鳥肉が並んでいます。豚肉が鈎にぶら下がっています。果物の屋台もあり、皆な思い思いに商売をしています。
通常の居住区ですから、夜は8時を過ぎるとひっそりとします。大通りに面していないので、閑静な環境でぐっすりと休むことが出来る場所でした。

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