2017年4月23日日曜日

ネパールの地方選挙

街頭演説会
ネパールは今地方選挙の真っ最中で、それぞれの政党があちこちで投票を呼び掛けています。さて、これはネパールのみならず、インドの地方選挙でも同じような光景を見るのではないでしょうか?村の選挙は私達が想像するのものとは大きく異なっています。まず第一にお金がかかります。識字率が低いので、選挙とはどういうものか理解できません。日本のように、広報が配布され、個々の候補者の意見が述べられることがあっても、読み書きのできない村人の票を取り込むにはどうすれば良いでしょうか?結局人海戦術、すなわち選挙運動員を雇用しなければなりません。ここで左右されるのは、矢張り資金力という事になります。地域の代表になるには、50人程の運動員を集めなくてはなりません。運動員と言っても、無料奉仕してくれるわけではありません。現在の経済状況では一日あたり700円ほどの費用がかかり、一カ月ほどの期間を契約して個別訪問を行ってもらう事が当然となっています。となると、その費用だけでも100万円を計上しなくてはなりません。他の候補者に乗り換えられると困りますから、
やはりお酒や美味しいご馳走も提供しなくてはなりません。こうしてキャンペーンの期間中は、収入が保証されたも同然です。これが国政選挙になると、更に金額が膨れ上がっていきます。となると、優秀な信条、政策を持った人が当選する可能性は少なくなってきます。この選挙に勝てば、中央政府からの交付金の使用権利が手にはいりますから、5年間の間には、完全に選挙費用を予算の使い込みで完全に元に戻せる構造になっています。さて、よしんば村の人々が読み書きが出来、識字率が向上したとしても、自分達の主張を、考えをまとめるという思考力が育っていません。昔からのカースト制の名残りもあり、上からの人々の言われるままの習慣が強く残っています。これは日本でも、昔はお上のいう事に逆らわないという考え方があったことと同じ状況です。こうなると、本当の選挙と言えるのでしょうか?
さらに、今回の選挙では、臨時で警備官が二か月の間雇用され募集中です。その給料が一カ月20,000ルピーほどで55日間(二か月)ですから、莫大な金額が投入されるわけです。警備官の増員は70,000人とかいう数字ですから、愕きです。カトマンズにある選挙委員会事務所は一等地に広大な敷地を持ち、他の省庁よりも立派な建物です。ここでは、選挙の名前を借りて、天文学的なお金が暗躍しているわけです。金網ごしに見えるのは、真新しい白い投票箱です。一旦、ここに集結されて、順次地方に配布されていきます。使用後は、再度、中央選挙管理委員会に戻ってくるわけで、輸送用のトラックも待機しています。これも又私達にとっては信じられない状況が派生しています。
さて、マオイストの政党には、大きなトリックがあります。選挙資金の調達には、過去の戦闘で和解が成立したわけですが、マオイストの兵士を正規軍に組み入れるか、所得補償をするという項目です。ここで、マオイストの政党は2600人もの架空名義のリストを作成し、保障を要求しています。一カ月8000円程の手当を支給されるわけですが、これは、政党のポケットマネー化しているのが事実です。これが4年間続くわけですから、総費用は数十億に上ります。そして、これが、選挙の軍資金となっていますから、勝てないはずがないという一言です。それに対抗する政党、いわゆるネパール・コングレスはインドからの支援を仰いで競争しているわけです。元来、ネパール・コングレスはインド国民会議派と共通性を持っていますから、支援が届くのは当然です。その見返りとして、インドはネパールへの優先的な投資権を入手したり、貿易関係で有利な方向に導くことが出来るわけです。
さて、こうした選挙にかかる費用は一体、どこから入るのでしょうか?ネパールの税金が投入されるのでしょうか?実は、この選挙費用の多くは国外からの援助に頼っているのが事実です。自分達の資金をつかうのではないから、全くよそ事のように事が運んでいく始末です。
こうした事で、国全体が永遠に援助漬け国家として成長していくことになっています。広大な別荘に住む政治家たちも、こうした海外からの援助金をどのようにして、私生活を豊にしていくのに利用するか四苦八苦しているようです。

0 件のコメント:

コメントを投稿