この国は出稼ぎ移民の多い国の一つです。中近東の産油国ほどではないのですが、実に多種な言語が街角から響いてくるのです。エアーアジアが発着するLCCT(Low Cost Carrier Terminal)にあるセルフサービスのレストランで掃除や食器の後片付けをしている多くはバングラディッシュ語が聞こえます。ペナンにはネパールレストラン、マラッカにもネパールレストランがあり、いつも賑わっています。近くの大型スーパーでカートの整理をしている男性は携帯電話でスリランカ語を話しています。本当に様々な人々がうごめいているのが実情です。いわゆる単純労働部門にもこうした多くの人材派遣がなされてるのは、ここマレーシアだけではないようです。
中東産油国の報道が先日ありました。確か、カタールでしたかね。国民一人あたりの所得がすごく良いとか。五年間はたらくと一生働かなくても良いという報道がありました。さらに、教育、医療も殆ど無料の状態です。東南アジアで高度な医療を受けるにも、政府から費用が提供されるという恵まれた環境です。すなわり、石油の富を国民に分配するという良識を持った政治をしているというのがその理由でした。しかし、この国の1割を占める国民にのみ、その特権が与えられるわけです。国全体の維持を考えると様々な人々から構成されて国が成り立つはずです。しかし、これらの産油国の豊かとされる国では、自国民のみを対象として、特権が与えられています。産油国の多くは海外からの出稼ぎを受け入れることによって、産業が成り立ち、商業が成り立つはずです。いわゆる、国全体を広義で考えるならば、外国人労働者も国の重要な一員になるはずですが、勿論、彼らには前述のような特権が得られるわけはありません。さて、このギャップは永遠に続くのでしょうか?国家間の経済格差の溝はいつまでも埋まらずに進んでいくようです。まあ、同様な特権を外国人出稼ぎ組みにも適用するとすれば、財政も圧迫されるでしょう。やはり、既得権益の確保の為には譲れない部分があるわけです。
でも、何でも沢山与えられると、人間はそれで幸せになれるのでしょうか?そういった中東産油国で、貧困な国から出稼ぎに来て、日々家族の事を思いながら働く人々には希望が輝いています。全てが与えられる中東産油国の人々には、こうした気持ちを持ち合わせるのは無理でしょう。以前旅の途中でブルネイに一泊したことがあります。ここも、いわゆるブルネイ人の人口は少なく、マレーシアやインドネシア、その他の国々からの出稼ぎで国が成り立っています。当然のこととして、ブルネイの人々は手厚く保護されているわけです。となると、ブルネイの人々はメタボに苦しんで生活しているような気配を感じましたが・・・・。
そんな中でマレーシアは人種の多様性を早くから経験している国です。単純労働者は近郊のアジアから、頭脳労働者も他国からの受け入れも目立っています。IT関連ではインド系の技術者が多く雇用されています。中国系の人々はその間を縫い巧みに商売と交易を続けています。そん状況で舵取りをするのも一苦労かもしれません。しかし、石油が取れるというメリットでこの国は安定を保っているようです。勿論政府の財政は原油産出国としての優位性を維持しつつ2500万人のマレーシア人(マレー系、中国系、そしてインド系住民で構成される)を養うわけです。その他に数多くの外国人労働者が単純労働から高度なIT関連の技術者などをも含まれて、国が形成されているわけです。
該してマレー人は上述の要件が重なり、生活も向上し所得も安定しています。日本同様次第に高学歴社会になりつつあります。そうすると、必然的に単純労働者の数が不足します。それを狙って、バングラデッシュやネパールなどから多くの移民労働者が派遣されることになるわけです。
日本も同様な現象が生じ、高学歴社会が生み出す歪を避けることができなくなってきました。いわゆる、単純労働者の不足がここに来て大きく課題になってくるわけです。それで、単純労働を外国人に任せるのはイヤという矛盾が起きてきます。安いものは何でも諸外国から購入し恩恵をあずかっています。労働市場にも、こうした動きは避けて通れないはずですが・・・。
富の分配を如何にこなすかが、これからの重要な課題になってきます。先日円高に関してG20の席上で、財務大臣が、日本は、一生懸命働いて頑張っているのに、円高で苦しめられていると代弁されたようですが、当の本人達は政権抗争に明け暮れ、将来の心配も何もない人々です。いずれは、天下りとかで、生涯安泰な道筋をゲットした人々とも言えるでしょう。でも、本当に円高で苦しんでいるのでしょうか?経済で使われる統計自体が正確な指針を、根拠を持っていないので、大概は外れてしまう場合が多いのですが。
そうした観点からすると、日本の国際化はまだまだ程遠い現状かもしれません。
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